河豚食わぬ非常識

北大路魯山人は食についての名文をたくさん残していて僕も好んで読んでいるが、そのひとつに「河豚食わぬ非常識」という文章がある。
ふぐを恐ろしがって食わぬものは「ふぐは食いたし命は惜しし」の古諺に引っかかって味覚上とんだ損失をしている・・・という出だしの名文だ。
これから冷え込んでくると、河豚が美味しい季節になる。
海釣りに出かけると、ちょくちょく河豚が釣れる。よく釣れる河豚はショウサイフグとアカメフグ。特にアカメフグはトラフグに匹敵するくらい美味い。
問題は調理だ。なんたって相手は人の命を奪う猛毒を持っている魚だ。
釣った河豚の肝を食べて亡くなったなんて記事を新聞で見たこともある。
まあ肝を食べるなんてとんでもない話なのだが、河豚によって毒の強弱や毒のある部位が違うのでしっかりとした知識がないと危ない。
僕は若い頃から漁師に教わった下処理をして自分で調理して食べ続けているが、今のところなんともない。もっとも、これは何かあったら自己責任の世界なので、むやみに手を出さない方が良い。
先日、外房の大原漁港から船に乗ってショウサイフグ釣りを楽しんできたけれど、それはフグ専門の釣り船なので陸に戻ってからフグ調理師免許を持った船宿スタッフが下処理をしてくれる。後はそれを持ち帰って刺身や唐揚、鍋、雑炊等に調理して食べるだけだから安心安全だ。
トラフグの透き通るような薄作りのお刺身もいいけれど、贅沢に厚切りしたショウサイフグのお刺身をお皿にてんこ盛りにして豪快に腹一杯食べるのもなかなかのものですよ。
IMG_6748.JPG
PA170564.jpg

Share Button