液体は圧縮できないんですよ

当たり前のことだけど、気体は圧縮できるけど液体は圧縮できない。注射器に空気や水を入れて、出口を塞いで押してみるとわかる。
エアークリーナーなどから水を吸い込んでしまい、それが燃焼室に入ると大変なことになる。
エンジンがかかっている状態だから、ピストンは燃料と空気の混合気を圧縮しようとして凄い力で上へと押し上がる。ところが、燃焼室に入っているのが混合気じゃなくて水だからビックリ。
とてもとても圧縮できる相手じゃないから、負けてしまってピストンを押し上げるロッド(コンロッド)が曲がったり、力の逃げ場を求めて燃焼室の壁をブチ破ってピストンか外に飛び出たりする。
そういったトラブルをウォーターハンマーと言う。
今回の豪雨によるトラブルで入庫した中で、BMWのニューミニはそのケースだった。たいした水深ではなかったらしいが、ザザーッと雨水を押しながら浸水道路に突っ込んだ時、多分は波のように押し上げられた雨水がグリルの裏にあるエアークリーナーの吸い込み口に達したのだろう。
写真をみていただきたい。下ろしたエンジンの右下あたりにポッカリと穴が開いている。これは雨水を圧縮できないピストンがエンジンブロックの燃焼室の壁をブチ破って力を逃したものだ。これは凄い!
もちろんエンジンはご臨終。同じ程度の走行キロのリユースエンジン(単体テスト済み、保証付)が見つかったので、現在それと乗せ換える作業を行っている。
浸水道路を甘く見てはダメですよ。
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