写真にあるお客様のオーダー書に書かれているように、エンジンが不調でいくつかの工場に預けもしたが改善されない・・・というアウディA5スポーツバック。
新規のお客様だが、このように故障経緯を整理して入庫いただくと、とてもわかりやすい。
点検の結果、確かに4番シリンダーは圧縮が無い。
プラグホールから内視鏡を入れてシリンダー内部を観察してみると、爆発していないのでガソリンで洗われてピカピカに光っていた。
この状態で長い時間が経過しているので、エンジンオイルも洗われていてシリンダーやピストンリングがダメージを受けている可能性も大だと判断した。
ただ、外部からのチェックではなぜそんなことになったのかが不明。
シリンダーヘッドを降ろしての点検&診断に入るか・・・となると、原因を見つけた上でエンジンオーバーホールという流れになる。
ただエンジンが受けているダメージを考えると、中古エンジンに乗せかえるのも手だ。
この中古エンジンはまず入手困難なのだが、たまたま弊社のネットワークで1台だけ見つけることができた。状態も良さそうだ。
お客様とあれこれと相談して、結局中古エンジンへの載せ替えに決定。
載せ替え後のテスト走行もすこぶる快調。お客様にも「凄く走りが良い」と喜んでいただけた。
・・・さて、お車納車後だが、原因不明のまま事を終わらせるわけにはいかない。
そこで仕事の合間に、残されたエンジンを分解した。
なんと!4番シリンダーの排気バルブに小豆大の穴が開いているではないか!
何かがバルブとバルブシートの間に咬んだというならバルブの端が損傷するわけだが、そうではない・・・何だろう?
バルブ製造時の金属材質の不良???
めったには考えられないことですね・・・