ポルシェ・ケイマンS ベルトプーリーが損傷してエンジンブロックに亀裂が入った

路上トラブルでJAFによって搬入されたポルシェ・ケイマンSだが、ベルトプーリーが損傷してベルトがズタズタに切れた状態だった。

問題はプーリーを取り付けるアルミエンジンブロックに亀裂が入ってしまったことだ。
亀裂がどの程度深くまで進行しているのかはわからないけれど、力が加わると亀裂がさらに奥まで走ることは容易に想像できる。

最も安心なのはエンジンをバラバラにしてアルミのシリンダーブロックを交換することだが、ざっと計算しても何百万の修理となる。

アルミ溶接は容易ではない。アルミの鋳物については色んな金属の混合比率がわからないとなかなかうまくは行かない。
他の部分ならなんとかやってみるという手もあるが、エンジンブロックではリスクが大きすぎる。

お客様も頭を抱えていらした。
「何とかいい方法がないものですか?」・・・うーん。
アルミ製品の補修に使うパテ状の補修接着剤はBoschCarService玉野自動車にもあるが、エンジンブロックの補修となるとちょっと心配だ。リスクが大きすぎる。

お世話になっているアルミ加工工場に相談したら、熔接が無理な場合には「デブコン」を使う加工工場が昔からあるらしい。「デブコン」というのはアメリカ製のアルミ補修接着剤だ。
やらないよりはもやった方が・・・ということで、「デブコン」の輸入元技術担当者と電話で相談。
あれこれ打ち合わせたが、結論としては「絶対に大丈夫とは保証はできないけれど、デブコン処理した方が圧倒的に安心」「いろいろとあるデブコンの中でも、高価だが耐熱温度が300度の品物を使うしかない」ということだった。

耐熱温度300度のデブコンも長時間の耐熱となると230度程度らしいので、まあなんとかエンジンブロックに使えそうだ。
亀裂の外側を研磨して脱脂し、そこに4から5ミリ程度の厚さでデブコンを塗る。乾燥すると中に混入してある金属粉が固まるので、亀裂が広がるような力が加わってもそれを押さえることができる・・というわけだ。
デブコンを塗って固めることで見た目は悪くなるが、まあ普段は見えない所だから致し方ない。

これでなんとかなるといいが・・・

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